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業務内容

当研究所の調査と診断

当研究所では、絵画を中心として美術作品の状態調査を行っています。通常光による撮影の他、紫外線・赤外線・X線を用いた写真撮影や微量サンプルの化学分析など科学的検査を軸に、ワニス層・絵具層・地塗層・支持体など各部位にわたる綿密な調査です。修復時に行う調査・記録は、実際の修復に役立つ一方、将来、再修復が必要とされる際には重要な参考資料となります。作品調査によって新たな知見が得られる場合もあります。これらの資料の蓄積は、作家研究や作品の技法を解明する上で貴重な判断材料となります。

X線写真

X線写真
高橋 由一 「本牧海岸」金刀比羅宮蔵

医療用のX線写真と同様の原理です。作品の表裏と内部の状態を白黒の濃度差により示すことができます。X線が透過する部分の厚みや素材を構成する化合物の種類に白黒コントラストは依拠し、それによって濃度差が生じます。時には画面と違う画像が下層から現れる場合もあります。

X線写真のpoint

当研究所にはX線の専門スタッフがおり、確かな技術のもと、絵画のX線写真を撮影しております。クオリティの高い修復のために、X線技術を役立てています。

紫外線蛍光写真

紫外線蛍光写真

360nm付近の紫外線は、作品の最表層部の材料に反応し、その材料により程度は異なりますが、あるものは蛍光を発して青白く光り、あるものは紫外線を吸収して黒く見えます。この状態を写真記録にし、ワニスの塗布状態、加筆・補彩の有無を観察します。左の写真の左上辺の黒く見える部分は補彩を施した部分だと分析できます。

紫外線蛍光写真のpoint

ワニスの塗布状態や、古い修復などを観察し作業を行います。

赤外線写真

赤外線写真

赤外線は表面下数10-100μ程度の深さにまで到達するので、可視光線では確認できない下描きや、表面の汚れなど様々な原因で見えにくくなった絵や文字を写し出すことができます。表面付近の絵具層に赤外線を吸収・反射する両者があれば、明白な画像が観察できます。

赤外線写真のpoint

可視光線では確認できない下絵まで確認できることがあります。

測光線写真

測光線写真

光の照射する方向を片側に位置づけて照射することによって、作品の表面の状態を観察することができます。この方法により絵具層の浮き上がり、支持体の変形、筆触の程度などが明らかになります。左写真では画布のたるみ、絵具の亀裂がよくわかります。

測光線写真のpoint

作品の表面の状態を明確に観察することができます。

断層写真

断層写真

試料片を断面で切って観察すると、絵具層の内部やグレーズ層の有無などの技法的な側面を理解することができます。地塗層も同様です。主に絵具層に加えられた少量成分も明確に観察できます。またオリジナル部分と加筆・補彩など後補部分の区別を観察し、確認することができます。

断層写真のpoint

制作過程やグレーズ層の有無などを理解することができます。

各材料の性質を見極めた修復を

修復に際して大事なことは、オリジナリティを損なうことなく安全に修復作業を行い、作品を安定した状態で次世代に残し伝えていくことです。長年で培った修復のノウハウを活かし作品の状態を見極め、最適な方法で修復します。

油彩画の保存と修復
油彩画の支持体は、麻布、綿布、絹布、紙、板、金属板と、様々な材料が用いられ、様々な層が重なり合う重層構造となっています。したがってこの油彩画の修復には絵を構成する各材料についての深い知識と理解が必要となります。
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デッサン
紙作品の保存と修復
デッサン、水彩画、版画などの紙を支持体とする作品は、様々な要因により劣化し、損傷を受けます。酸性の強い裏板や台紙との接着によって紙の劣化が促進されたり、台紙に固定するための接着剤やテープ類が、しみの原因となることもあります。作品の置かれる保存環境を整え、適切な材料を使用して保管することが、劣化を防ぐ重要なポイントです。
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複合作品
複雑化する作品の損傷
現代の多様化する表現に伴って、様々な形体の作品が生まれています。性質の違う複数の物質で複雑に構成された作品も多く、それらは将来どのような損傷が生じるのか予測が困難です。当研究所では、他分野の専門家と連携し、作品の持つコンセプトや使用される様々な材料についての理解を深め、その知識と経験を積み重ねていくことが重要だと考えています。
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大型作品
大きな作品や壁画の修復
当研究所では、多くの大型作品や壁画など、様々なジャンルの作品を手がけており、研究所内ではもちろん、現地に行って作業を行う場合もあります。
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